4月、東京・町田の鶴見川源流「泉のひろば」で行われた「保水の森再生とホタルの水辺再生作業体験」では、笹刈りや土のうづくりで汗をかいた参加者たちが、慶應義塾大学経済学部教授・岸由二さんの“アクアトーク”に聞き入る姿が見られた。
「鎌倉時代、こうした源流エリアの尾根の間にできた小さな谷のことを谷戸(やと)と呼び、この谷戸で田んぼを切り開いた。下流域などの大きな川の周辺に田んぼをつくったのは徳川の時代に入ってから」
つまり今回の笹狩りや土のうづくりで森が戻る“時間的ポイント”は、1000年以上も前の鎌倉時代というわけだ。
「この谷戸をさらに安定させるため、笹を刈り、落葉樹を植えて雑木林にすると、毎年枯葉が落ちて土地がスポンジ状になる。そこにやがてオオムラサキやゲンジボタルが生息するようになる」(岸さん)
こうした活動により、都心から電車で約1時間の森が、鎌倉時代にまで戻り始める。ウグイスが鳴く静かな森のなかで、参加者たちはアナグマが口先で掘った穴などに興味深く見入っていた。
水辺の再生をテーマにしたAQUA SOCIAL FES!! 2012のプログラムは、「しじみが生息する淀川の干潟を残そう」(7月)や「山形のシンボル最上川を、後世に残そう」(8月)など各地で開催される予定だ